切り立った岩壁にぽっかりと開いた洞窟、岩陰に鎮座する神秘的な仏像、洞窟の天井から差し込む一筋の光。
ベトナム・ダナンを訪れたなら絶対に外せない観光スポットが「五行山(ごぎょうざん)」です。
山全体が大理石でできていることから、英語では「マーブルマウンテン(Marble Mountains)」とも呼ばれるこの場所。
古代中国の陰陽五行説に基づいて名付けられた5つの山々は、古来より僧侶や巡礼者の修行の場として、また地元の人々の信仰を集める聖地として大切にされてきました。
中でも最大の見どころは、フィエンコン洞窟の神々しい仏像。
岩壁の中腹、高い場所に安置された仏像が洞窟内から静かに見守る姿は、訪れる者を思わず立ち止まらせるほど神秘的。
ダナン市内から車でわずか20〜30分、ホイアンへ向かう途中にも立ち寄れる好立地。ぜひ行ってみてほしい場所のひとつです!
五行山とは?大理石の山に宿る歴史とパワー
五行思想に基づく5つの山
五行山は、ベトナム最後の王朝である阮朝(グエン朝)の第2代皇帝ミンマン帝が、古代中国の陰陽五行説に基づいて名付けた5つの山の総称。
「木・火・土・金・水」それぞれの要素を象徴する山が、半径500メートルほどのエリアに集まっています。

「木・火・土・金・水」を象徴する山が集まっている
かつては海に浮かぶ石灰岩の島々だったものが、約180万年前の地殻変動により陸地と融合し、現在の山々を形成。
山全体が大理石と石灰岩で構成されており、「マーブルマウンテン」という英名の由来となっています。
5つの山のうち、観光客が訪れることができるのは最大の峰である「水山(トゥイソン / Thuy Son)」のみ。

水山(Thuy Son)の入口
標高は約100メートルほどですが、山中には寺院や洞窟、展望台など見どころが凝縮されており、ダナンを代表するパワースポットとして年間数百万人もの観光客が訪れます。
西遊記の孫悟空が封印された聖地
五行山は、日本でも有名な中国の古典小説「西遊記」にも登場する重要な場所。
物語の中では、天宮で問題を起こした孫悟空が罰せられ、500年間封印された場所として描かれています。
この伝説から、五行山はベトナム屈指のパワースポットとしても知られるように。
現在も地元の人々の信仰を集め、多くの参拝者が訪れる霊的なスポットとなっています。
チャンパ王国時代からの聖地
五行山があるエリアは、かつてチャンパ王国があった土地。
ヒンドゥー教を信仰していたチャム族が、神を崇める聖地として五行山に集っていたと言われています。

かつてチャンパ王国があった五行山周辺
現在残る寺院の多くは阮朝時代に建てられたものですが、五行山が長い歴史の中で人々の信仰を集め続けてきた場所であることは間違いありません。
2023年にはベトナム政府により保存・修復計画が承認され、総面積約105ヘクタールにわたる文化遺産として大切に守られています。
五行山の見どころ|神秘の洞窟と絶景スポット
リンウン寺(Linh Ung Pagoda)|カラフルな中国様式の寺院
最初の階段を上がってすぐに現れるのが、緑を基調とした鮮やかな中国寺院風の外観が特徴の「リンウン寺(Linh Ung Pagoda)」。
ベトナム阮朝の初代皇帝嘉隆帝の時代(1802年〜1820年)に建てられた歴史ある寺院で、別名「ノンヌォックパゴダ」とも呼ばれているとのこと。

リンウン寺(Linh Ung Pagoda)
屋根には精巧な龍の彫刻が施され、仏像の光背は虹色に輝く美しさ。
境内には白く輝く観音像や、花や果物で飾られたユニークな仏像もあり、日本の寺院とは一味違うエネルギッシュな空間が広がっています。

リンウン寺の観音像

リンウン寺の内部にあった派手な観音像
なお、ダナンには「リンウン寺」という名前の寺院が3つ存在します(五行山、ソンチャ半島、バーナーヒルズ)。
間違えて違う場所に行かないようご注意を。
サーロイ塔(Xa Loi Tower)|七重の中国風仏塔
リンウン寺を通り過ぎてすぐのところにあるのが、六角形の美しい七重塔「サーロイ塔(Xa Loi Tower)」。
エレベーターを降りてすぐ見える位置にあり、写真スポットとしても人気です。

サーロイ塔(Xa Loi Tower)
中国風の塔の内部に入ると、白いお釈迦様が祀られています。
サーロイ塔の周辺は、ダナンの街並みと海の景色を一望できる絶景スポットとしても有名。
五行山の全体像やダナン市街が見渡せる展望広場となっており、風を感じながら景色を眺めれば心も体もリフレッシュできるでしょう。
タンチョン洞窟(Tang Chon Cave)|本格的な洞窟体験
リンウン寺の裏手にある岩のトンネルを抜けると、5つの洞窟からなる「タンチョン洞窟」が姿を現します。
巨大な岩に囲まれた空間はひんやりと澄んだ空気に満たされ、足を踏み入れた瞬間からパワーを感じられる場所。
規模は小さめですが、本格的な洞窟の雰囲気が楽しめるのが魅力。
岩に沿って設けられた祠(ほこら)は、ベトナム独自の建築に日本や中国の様式が融合したホイアンスタイルで、じっくりと時間をかけて見学する価値があります。
ヴァントン洞窟(Van Thong Cave)|光が差し込む神秘的空間
神秘的な雰囲気で、自然の光が差し込む空間が美しいヴァントン洞窟。

ヴァントン洞窟の入口
洞窟内には小さなカラーの仏像が設置されており、その奥には岩の裂け目のような穴が続いています。

洞窟内にあったカラーの仏像
足場はあるものの、かなり急で狭い通路を上っていくと、踊り場のようなスペースに到着。
上の小さな隙間から光が射し込み、洞窟特有の神秘的な雰囲気が漂います。

光が差し込む神秘的な雰囲気
さらに奥にはプチロッククライミングのような隠れルートもあり、まるでRPGのダンジョンのような冒険心をくすぐられる場所。

狭い岩のスキ間を上って展望台へ
ただし、小さなスペースで混雑しやすいため、写真撮影は手早く済ませて次に進みましょう。
展望台からの絶景|ダナンの海と街並みを一望
狭い岩の隙間を上りきった先には、五行山一の絶景ポイントが待っています。

ヴァントン洞窟奥の展望台へ
ゴツゴツした岩場から見えるのは、ダナンの美しい南シナ海と広がる街並み。
遮るもののない大パノラマは、疲れを吹き飛ばすほどの爽快感。

五行山の絶景ポイント
風が心地よく、晴れた日には最高の景色が楽しめます。
さらに標高の高い場所にある「ハイエストピーク(最高峰展望台)」からは、五行山全体の姿やダナン市街をより広く見渡すことが可能とのこと。
途中の階段は急で足元が悪いので注意が必要ですが、登りきった時の達成感と景色は格別です。
ホアギエム洞窟(Hoa Nghiem Cave)|女神が安置される洞窟
「玄空關(げんくうかん)」と書かれた門をくぐり抜けると見えてくるのが、ホアギエム洞窟。

ホアギエム洞窟手前の門
今回の五行山観光で見た中でも最も大きな洞穴で、ちょっとした洞窟の入り口のようなスケール感があります。

ホアギエム洞窟の入口
洞窟内には祭壇があり、大理石を彫って作られた観世音菩薩の像や、「ポーナガー」と呼ばれる美しい女神様が安置されています。

観世音菩薩像
幻想的な雰囲気に包まれた空間で、五行山の霊的なパワーを強く感じられる場所。
フィエンコン洞窟(Huyen Khong Cave)|五行山最大のハイライト
ホアギエム洞窟のさらに奥、五行山で最も印象的なのがこの「フィエンコン洞窟」。
洞窟内に足を踏み入れた瞬間、思わず「なんだここは!」と声を上げてしまうほどの神々しさ。

フィエンコン洞窟
岩壁の中腹、高いところに座した仏像が安置されており、その神秘的な姿は訪れる観光客を思わず立ち止まらせます。
薄暗い洞窟を神秘的な光の線が照らす様子は、まさに五行山最大の見どころ。

神秘的な仏像を見上げる
天井にある穴は、ベトナム戦争時にアメリカ軍の空爆によってできたものだそう。

ベトナム戦争の空爆でできた穴
戦争の爪痕が作り出した自然光が、逆に仏像をより神々しく照らし出しているのは皮肉とも言えますが、その美しさは一見の価値があります。
たどり着いた観光客たちも、しばし時を忘れてじっと見上げる——そんな神秘的な空間が、フィエンコン洞窟には広がっています。
タムタイ寺(Tam Thai Pagoda)と最後の展望所
フィエンコン洞窟を抜けると、「タムタイ寺」という寺院に到着。
木造の講堂が美しく、趣のある建築が特徴です。

タムタイ寺
寺院の前には長めの良さそうな展望台があり、先ほどの展望スポットよりも陸側の景色を見渡すことができます。

街中に岩山がある奇妙な景色
街中にボコッと岩山がある光景は不思議で面白く、あの山の中腹に見える小屋は「何かアイテムがもらえそう」「コログいそう」とゲーム好きの心をくすぐる。
アンフー洞窟(Am Phu Cave)|地獄と天国を表現した洞窟
五行山で最も長い、約300メートルの長さを誇るのが「アンフー洞窟」。
地獄と天国をテーマにした仏教の世界観を表現した洞窟で、入場料は別途20,000ドン(約120円)が必要。
洞窟内には地獄のオブジェや彫刻が続き、どの国の地獄も似たような表現なのが面白いところ。
階段が多く体力が必要ですが、五行山の別の一面を見られる穴場のパワースポットです。
五行山への行き方・アクセス
ダナン市内からのアクセス
ダナン市の南端、ホイアン寄りの位置にある五行山。
多くの旅行者はタクシーで向かうことになるでしょう。

ビナサンタクシー
時間がかかっても現地らしい体験がしたい方は、路線バスで向かう方法もあります。
レンタルバイクもありますが、交通ルールなど日本とは勝手が違うのでご注意を。
タクシー・Grab(グラブ)
ダナン空港やホテルなど、どこからでも便利に使えるのがタクシー。
ダナン市内中心部から約20分、空港からは約25分ほどで到着します。
料金の目安は、以下の通り。
- ダナン中心部から:片道100,000〜150,000VND(約600〜900円)
- ダナン空港から:片道約200,000VND(約1,200円)
- ビーチエリアから:片道約80,000〜110,000VND(約500〜650円)
タクシーを呼ぶなら、配車アプリ「Grab」の利用がおすすめ。
料金が明確で、ぼったくりの心配もほぼありません。
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アプリを使わずにタクシーに乗るなら、ベトナム全土で信頼度の高いタクシー会社「ビナサンタクシー(VINASUN TAXI)」を選ぶといいでしょう。
私の訪問時はまだGrabがダナンに対応していなかったので、このビナサンタクシーを使いました。
路線バス
時間がかかっても安く移動したい方、現地の雰囲気を感じたい人におすすめなのが路線バス。
ダナン大聖堂の正面近くからホイアンに向かう黄色いローカルバス「1番系統」に乗車し、五行山の「Non Nuoc」バス停で下車すればOK。
そこから徒歩約10分で到着します。
料金は2018年時点で片道30,000ドン(約180円、観光客料金)とのことですが、これがぼったくりなのかは不明。。。
現地住民は2万ドンで行けるようです。
20分ほどの間隔で運行しており、所要時間は20〜30分ほど。
レンタルバイク
レンタルバイクの店が数多く軒を連ねているダナン。
相場は1日150,000〜250,000ドンほど(約1,000〜1,500円)。
道も比較的分かりやすく、自由に移動したい人におすすめ。
駐車場(駐輪場?)は五行山入口付近にあり、料金は2,000〜10,000ドン(約50円)程度。
ベトナムは日本とは逆の右側通行で、交通ルールも一部日本と異なる場合があるので走行には十分ご注意ください。
五行山の基本情報
正式名称
【日本語】五行山(ごぎょうさん)
【ベトナム語】Ngũ Hành Sơn(グーハンソン)
【英語】Marble Mountains(マーブルマウンテン)
住所
81 Huyền Trân Công Chúa, Hoà Hải, Ngũ Hành Sơn, Đà Nẵng 550000, Vietnam
地図・アクセス
・ダナン市内中心部から:車で約20分
・ダナン国際空港から:車で約25分
・ホイアン旧市街から:車で約30分
営業時間
7:00〜17:30
最終入場:16:30頃まで
所要時間目安
1.5〜2時間(標準コース)
おすすめの訪問時間
午前中(9時頃まで)が比較的涼しく、観光客も少なめ
定休日
なし
入場料
エレベーターなし入場料:40,000VND(約240円)
エレベーター付き入場料:55,000VND(約330円)※エレベーターは上りのみ
アンフー洞窟入場料(別料金):20,000VND(約120円)

五行山のエレベーター
公式Webサイト
Ban Quản Lý Di tích Danh thắng Ngũ Hành Sơn | Ngu Hanh Son Relic and Landscape Management Board



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