台湾旅行でぜひ体験したいアクティビティの一つが、「ランタン飛ばし(天燈上げ)」。
願い事を書いた色とりどりのランタンを夜空に放つ光景は、まるでディズニー映画「塔の上のラプンツェル」のワンシーンのよう。
その幻想的な体験ができるのが、台北郊外にある「十分(じっぷん、シーフェン)」という小さな街。
線路のすぐ脇に店が立ち並ぶ十分老街。なんと線路の上でランタンを飛ばすことができる、世界でも珍しいスポットです。
電車などでも行けますが、交通手段やお店選びなどいろいろ気にしなくていい現地ツアーで訪れるのもおすすめ。
(私はツアーで行きました)
電車が来る時だけ線路から退避し、それ以外の時間は自由に線路の上を歩いたり、ランタンを飛ばしたりできる。
今回は、この十分でのランタン飛ばし体験を実際にやってきたので、料金や色の意味、撮影のコツ、アクセス方法まで詳しく紹介します!
十分ってどんな場所?ランタン飛ばしの聖地
十分は、台湾・新北市平渓区に位置する小さな山あいの街。

台湾・十分
かつては炭鉱の街として栄えましたが、現在はランタン飛ばしの聖地として、国内外から多くの観光客が訪れる人気スポット。
線路が街の真ん中を走る独特の風景
十分の最大の特徴は、街の真ん中を平渓線という鉄道が走っていること。
線路の両脇にお土産屋さんや飲食店、ランタンショップがひしめき合い、独特の雰囲気を醸し出しています。

線路の両脇に店がたくさんある
電車が来ない時間帯は線路上が観光客の散策路となり、誰もが自由に線路の上を歩ける。
電車が来る時は、どこからともなく「電車來了!(ディエンチューライラ!=電車が来た!)」という声がかかり、みんな一斉に線路脇に退避。
通過するのを見守り、通り過ぎたらまた線路上に戻るという、日本ではまず考えられない光景が日常的に繰り広げられています。
ランタン飛ばしの歴史と意味
ランタン飛ばし(天燈上げ)は、もともと台湾の伝統行事。
その起源は諸説ありますが、三国志で有名な諸葛孔明が通信手段として発明したという説や、山賊の襲撃が去ったことを知らせる合図として使われたという説も。

十分のランタン飛ばし
現在では、旧正月の小正月(元宵節)に無病息災や家内安全を祈願してランタンを飛ばす習慣として受け継がれています。
十分では一年中いつでもランタン飛ばしを体験でき、観光客が自由に願い事を書いて空に放つことができるスポット。
ランタン飛ばしの料金と色の意味
ランタンの種類と料金
十分老街には数多くのランタンショップがあり、基本的にどのお店も同じ料金体系。
ランタンの価格は色の数によって異なります。
- 1色ランタン:150台湾ドル(約675円)
- 4色ランタン:200台湾ドル(約900円)
- 8色ランタン:350台湾ドル(約1,575円)
※2025年調べ、1台湾ドル=約4.5円で計算
最も人気があるのは4色ランタン。
複数の願い事を書ける上にカラフルで写真映えもするため、この4色ランタンを選ぶ観光客がいちばん多い。
色ごとの意味を知って願い事を書こう
ランタンの色にはそれぞれ意味があり、願い事の内容によって色を選びます。
主な色の意味は以下の通り。

ランタンの色にはそれぞれ意味がある
- 赤色:健康運・長寿・いつまでも健やかに過ごせますように
- 黄色:金運・財運・お金に恵まれますように
- 青色:仕事運・事業運・キャリアがうまくいきますように
- 紫色:学業運・進学・勉強や研究がうまくいきますように
- 白色:厄除け・開運・家内安全・商売繁盛
- オレンジ色:恋愛運・夫婦円満・恋人との関係が良好でありますように
- 緑色:総合運・開運・すべてが順調でありますように
- 桃色(ピンク):人間関係・良縁・恋愛成就・幸福祈願
4色ランタンの場合、色の組み合わせはあらかじめ決まったパターンから選ぶシステムが一般的。
例えば「赤・黄・青・紫」「赤・オレンジ・緑・ピンク」といった組み合わせの中から、自分の願い事に合ったものを選びましょう。
ランタン飛ばし体験の流れ
ステップ1:ランタンショップを選ぶ
十分老街には数十軒のランタンショップがあります。基本的にどのお店も料金は同じなので、雰囲気の良いお店や空いているお店を選べばOK。
ツアーで訪れる場合は、ガイドさんが提携店に案内してくれるはず。

十分のランタン店
ステップ2:ランタンの色と数を選ぶ
お店のスタッフに、1色、4色、8色のいずれかを伝えます。
4色ランタンの場合は、用意されている色の組み合わせパターンから選択。
ステップ3:願い事を書く
筆ペンや太いマジックを渡されるので、ランタンの各面に願い事を書いていきます。

ランタンに願い事を書く
中国語で書く必要はなく、日本語で書いてもOK。絵を描いたり、イラストを加えたりするのも自由。
書く内容は、各色の意味に沿った願い事が一般的です。例えば:
- 赤面:「家族みんなが健康でありますように」
- 黄面:「宝くじが当たりますように」「お金に困らない人生を」
- 青面:「仕事で成功しますように」「起業が成功しますように」
- ピンク面:「素敵な恋人に出会えますように」「結婚できますように」
ステップ4:線路の上で記念撮影
願い事を書き終えたら、お店のスタッフが線路上の撮影スポットまで案内してくれます。
ランタンを手に持ち、様々なポーズで記念撮影。
スタッフが写真を撮ってくれるので、カメラやスマートフォンを渡しましょう。
ステップ5:火をつけて空に放つ
撮影が終わったら、いよいよランタンを飛ばします。
スタッフがランタンの底部にある燃料に火をつけ、ランタンが熱気で膨らむまで待つ。

ランタンの燃料に火をつけて飛ばす
ランタンが十分に膨らんだら、スタッフの合図で手を離します。
ふわりと浮かび上がるランタンを見上げながら、願い事が叶うことを祈りましょう。

空に飛び立ったランタン
青空や夕焼け空に消えていくランタンの姿は、とても幻想的で感動的。
多くのお店では、ランタンを飛ばす瞬間を動画で撮影してくれます。スローモーションで撮影してくれることもあり、後で見返すと素晴らしい思い出になりますよ。
ランタン飛ばしのベストタイミングは?
昼と夜、どちらがおすすめ?
十分では一年中、昼夜を問わずランタン飛ばしを体験可能。
それぞれに魅力があるので、好みや旅程に合わせて選びましょう。
【昼間のランタン飛ばし】
メリット:
- 青空に浮かぶカラフルなランタンが美しい
- 写真が明るく鮮明に撮れる
- 街並みの散策も楽しめる
- お店がほぼすべて営業している
デメリット:
- 観光客が多く混雑しやすい
- 夏場は暑い
【夜のランタン飛ばし】
メリット:
- 暗闇に浮かぶランタンの光が幻想的
- ロマンチックな雰囲気
- 比較的空いている
デメリット:
- 19時頃には多くの店が閉まってしまう
- 台北への最終電車の時間に注意が必要
- 写真が暗くなりがち
私はツアー日程の関係上お昼ごろに行きましたが、おすすめは夕方の時間帯。
薄暗くなり始める17時〜18時頃なら、ランタンの光も美しく、写真も比較的きれいに撮れます。
平渓天燈節(ランタンフェスティバル)
毎年旧正月の元宵節(通常2月頃)には、「平渓天燈節」という大規模なランタン祭りが開催されます。
2025年は2月12日に十分で開催されました。2026年は3月3日。
今回の台湾旅行の目的でもあった平渓天燈節に参加してきた
願い事が叶いますように😌 pic.twitter.com/CNbC8OSA4X
— Nemo(ねも) (@GOOD_NEMO) February 8, 2025
このイベントでは、数百個のランタンが一斉に夜空に放たれる壮大な光景を見ることができます。
世界中から観光客が集まる人気イベントで、CNN「世界で最も素晴らしい52のイベント」にも選ばれたことも。
非常に混雑するため、もし行く場合は事前の準備と覚悟が必要。ツアーで参加するのが最も確実でしょう。
十分老街の見どころとグルメ
十分駅周辺の散策
ランタンを飛ばした後は、十分老街をゆっくり散策してみるのもいいでしょう。
線路沿いには、お土産屋さんや飲食店、カフェが立ち並んでいます。
十分駅も撮影スポットとしておすすめ。レトロな駅舎と平渓線の列車が、ノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。

十分駅のノスタルジックな風景
駅のホームから線路を眺める構図は、味があってたいへん良い風景。
十分瀑布(十分の滝)
十分老街から徒歩約20分(またはバスで5分)の場所にあるのが「十分瀑布」。
幅40メートル、落差20メートルの台湾最大級の滝で、「台湾のナイアガラ」とも呼ばれています。
次は十分瀑布へ
なかなかのアップダウンでいい運動になりました
滞在時間1時間ぐらい?? pic.twitter.com/LdqV4Cmxru— みゅう (@mew1020) October 19, 2024
滝の周辺は遊歩道が整備されており、マイナスイオンたっぷりの自然を満喫できます。時間に余裕があれば、ぜひ立ち寄ってみてください。
十分の屋台グルメ
十分老街には、台湾の定番屋台グルメを提供する店も多数あります。
- 鶏排(ジーパイ):台湾式フライドチキン。サクサクでジューシー
- 臭豆腐:十分でも食べられます
- 香腸(シャンチャン):台湾ソーセージ。甘めの味付けが特徴
- 古早味紅茶(グーザオウェイホンチャー):昔ながらの台湾ミルクティー
- 花生捲冰淇淋(ホアシェンジュアンビンチーリン):ピーナッツ粉とアイスを春巻きの皮で巻いたスイーツ
十分へのアクセス方法
台北から十分への行き方
【方法1:電車で行く(最安値)】
- 台北駅から台鉄に乗り、「瑞芳(ルイファン)駅」まで行く(約40分、49台湾ドル)
- 瑞芳駅で平渓線に乗り換え、「十分駅」まで行く(約30分、15台湾ドル)
所要時間:約1時間10分〜1時間30分
料金:片道64台湾ドル(約290円)
メリット:最も安い
デメリット:乗り換えが必要、時間がかかる、平渓線は1時間に1本程度

電車が来ない時間は線路の上を歩ける
【方法2:バスで行く】
- MRT木柵駅またはMRT市政府駅から「795」「846」などのバスに乗車
- 「十分遊客中心」で下車
所要時間:約1時間〜1時間30分
料金:片道50台湾ドル程度
【方法3:タクシー・チャーター】
台北市内からタクシーをチャーターして直接十分まで行く方法もあります。
所要時間:約50分〜1時間
料金:片道2,000〜3,000台湾ドル(約9,000〜13,500円)
メリット:楽、時間の自由度が高い
デメリット:料金が高い
【方法4:現地ツアーに参加(おすすめ)】
最もおすすめなのが、日帰りツアーに参加する方法。私もこれで行きました。
九份や深坑老街など他のスポットと組み合わせたツアーもあります。
ツアー参加のメリット:
- 交通手段の心配不要
- 効率よく複数のスポットを回れる
- 日本語ガイド付きで安心
- ランタンの手配や撮影をサポートしてくれる
- 台北駅や主要ホテルからの送迎付き
- 士林夜市で解散できるツアーもある
十分観光の注意点とアドバイス
訪問時の注意事項
- 電車の時間に注意:平渓線は1時間に1本程度しか運行していません。時刻表を事前に確認しましょう
- 最終電車に注意:台北へ戻る最終電車は18時台が多い。夜までいる場合はバスやタクシーの手配が必要
- 週末は混雑:土日祝日は非常に混雑します。ゆっくり楽しみたい方は平日がおすすめ
- 雨具を持参:山間部のため天気が変わりやすい。折りたたみ傘があると安心
- 歩きやすい靴で:線路の上を歩くため、スニーカーなど歩きやすい靴が必須
- 現金を用意:ランタンショップや屋台は現金払いのみがほとんど
撮影のコツ

画になる風景で写真を撮りたくなる十分
- ランタンを飛ばす瞬間は逆光に注意。太陽の位置を確認して
- スマートフォンよりも一眼カメラの方がきれいに撮れる
- 動画は縦撮りよりも横撮りの方が雰囲気が出る
- お店のスタッフは撮影慣れしているので、ポーズのリクエストもOK
- グループで訪れた場合は、全員が入る集合写真を忘れずに
十分と組み合わせたい観光スポット
九份(ジォウフェン)
十分と並んで台湾の人気観光地である九份。「千と千尋の神隠し」のような雰囲気が楽しめるレトロな街並みで有名です。
十分から九份へは、瑞芳駅経由でバスやタクシーで30〜40分程度。

台湾・九份にて
多くのツアーが十分と九份をセットにしているので、一日で両方訪れるのがおすすめ。
猴硐猫村(ホウトン猫村)
平渓線の途中駅「猴硐駅」にある猫だらけの村「猴硐猫村(ホウトン猫村)」。猫好きにはたまらないスポットで、十分を訪れるついでに立ち寄る人も多い。
十分駅から猴硐駅まで電車で約15分。
菁桐(ジントン)
平渓線の終点駅「菁桐(ジントン)」。昔ながらの炭鉱の街の雰囲気が残り、竹筒に願い事を書いて吊るす「祈福竹筒」が名物。
十分駅から電車で約10分ほど。
まとめ:十分でランタン飛ばしの感動体験を
台湾・十分でのランタン飛ばしは、一生に一度は体験したい幻想的なアクティビティ。
願い事を書いたランタンが空高く舞い上がる様子は、他では体験できない気持ちにさせてくれます。
線路の上でランタンを飛ばすという、世界でもここでしか味わえない特別な体験。
カラフルなランタン、レトロな街並み、のどかな雰囲気、すべてが旅の素晴らしい思い出になるはず。
電車などでアクセスするのもいいですが、初めての方や効率よく観光したい方には日帰りツアーがおすすめ。
日本語ガイドのサポートがあれば、言葉の心配もなく、ランタンの手配から撮影まで安心して楽しめます。
台湾旅行の際は、ぜひ十分でランタン飛ばしを体験して、願いを込めた光を夜空に放ってみてください。きっと忘れられない思い出になるはず!

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